一般社団法人 ソーシャルファイナンス支援センター

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「適格機関投資家等特例業務の見直し」について、以下を要点とする意見書を提出しました。
―「市民出資ファンド」は、悪質業者とは全く異質であり、そもそも金商法の適用除外にすべき
―求められているのは悪質業者の排除であり、適格機関投資家要件の厳格化こそが解決策

本年5月14日、金融庁から、「適格機関投資家等特例業務の見直しに係る政令・内閣府令案等の公表」(以下、「見直し」)が行われました。その概要は、適格機関投資家等特例業務(以下、「特例業務」)を行う者が、ファンドの販売等を行うことができる投資家の範囲を、適格機関投資家及び金融商品取引業者等(法人のみ)、ファンドの運用者、ファンドの運用者の役員・使用人・親会社、上場会社、資本金が5千万円を超える株式会社、外国法人、投資性金融資産を1億円以上保有した個人等に限るとしたものです。 この見直しは、消費者委員会が2014年4月22日に行った「適格機関投資家等特例業務についての提言」等を踏まえたものと思われますが、当ソーシャルファイナンス支援センターは、去る2月6日、消費者委員会より、特例業務の活用実態、制度改正の要望等について、意見交換したいとの依頼を受け、代表理事の澤山が意見陳述を行っております(詳細は、こちらをご参照ください)。

特例業務の出資者は資産1億円以上の超富裕層に限るといった見直しが、突然公表され十分な実情把握がないまま、本年8月1日に施行されてしまいますと、市民自らの手で少額の資金を集め、太陽光発電事業などの環境ビジネスや、介護・子育てなどのソーシャルビジネスを立ち上げようとしてきた市民団体関係者は、今後、自らの手による資金集めが全くできなくなってしまいます。

そこで、当ソーシャルファイナンス支援センターでは、以下の要旨のような意見書を提出し、金融庁に再考を要請することとしました(詳細は、こちらをご参照ください)。

(意見書要旨)
今般の見直しは、適格機関投資家等特例業務が悪質な詐欺業者に利用されているという実態に対し、もっぱら、投資性金融資産を1億円以上保有する個人等に限るといった「投資者の範囲の見直し」により、一般投資家(アマ)向けの投資勧誘を禁止することによって、問題解決を図ろうとするものと理解されます。
しかしながら、特例業務届出者の中には、現状ではごくわずかではありますが、市民自らが自分たちで資金を集めて事業を行う「市民出資ファンド」を自己募集しようとしている市民団体等がおります。第二種金融商品取引業者に募集代行を依頼できるほどの募集総額には達しない小規模なものであるため、適格機関投資家の支援を得て特例業務を行おうとする者です。こうした活動は、今般の見直しが念頭に置かれている悪質な資金集めとは全く異質なものですので、この際、そもそも金融商品取引法が規定する集団投資スキーム持分から除外すべき類型として、新たに、お認めいただくようお願い申し上げます。
一方、真に求められているのは悪質業者の排除自体のはずであり、それは適格機関投資家要件の厳格化によって実現しえると考えます。すなわち、投資事業有限責任組合による特例業務届出にあたっては、預金取扱金融機関等本来想定されるべき適格機関投資家の出資を得た投資事業有限責任組合に限るとすれば、悪質な詐欺業者を排除することは可能であるように思われます。
本見直しがこのまま一方的に施行されてしますと、上記のような小規模な「市民出資ファンド」の自己募集の途が完全に絶たれてしまうことをご理解いただき、適切な代替策となりえる法的処置をご勘案いただくようお願い申し上げます。


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