一般社団法人 ソーシャルファイナンス支援センター

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SFSCの沿革(代表あいさつに代えて)


「市民出資支援ファンド」の設立に至るまで
 ・社会起業家論との出会い
 ・SIJ「ファンド委員会」での検討
「市民出資支援ファンド」づくりへ
「適格機関投資家等特例業務」への注目

「市民出資支援ファンド」の設立に至るまで

社会起業家論との出会い

私が「社会起業家」なる概念に出会ったのは、今から10年以上前の2003年ごろのことでした。日本で一番初めに「社会起業家」を紹介したのは町田洋次さんで、2000年に書かれた『社会起業家「よい社会」をつくる人たち』(PHP新書)が最初の書籍です。その頃は、ようやく「コミュニティビジネス」に関心が集まり始めた時期で、私も新しい地域活性化の担い手として注目し勉強を始めていました。


実は、町田さんは、私が勤めていた日本長期信用銀行の産業調査部時代の上司でしたので、早速お願いして、当時、町田さんが主宰されていた「ソフト化経済センター」の勉強会に参加させていただきました。ある時、講師として招かれていた「ソトコト」編集長(当時)の小黒一三さんが、「皆さんのソーシャル度をテストしましょう」と言ってアンケート用紙を配りましたが、私も含めてその場にいたほとんどの人の「ソーシャル度」は、小黒さんが期待されていたほど高くなかったので、がっかりされていました。当時は、まだようやく「ソーシャルビジネス」という言葉がごく一部で使われだした時期で、「社会性と事業性の同時追求」といった概念がとても新鮮で、感嘆したことを今でもよく覚えています。

その後、もともと金融機関出身の私は、特に「市民金融」に関心が向かい、「NPOバンク」の集まりに顔を出すようになり、いくつかのレポートに仕上げました。その頃、あちこちの会場で顔を合わせるようになったのが、今一緒に仕事をしている唐木宏一さんでした。

ほぼ同じころ、「ソフト化経済センター」の勉強会で研究主査を務められていた一橋大学の谷本寛治先生が、『ソーシャル・エンタプライズ 社会的企業の台頭』(中央経済社)という編著をまとめられ、NPO法人「ソーシャルイノベーションジャパン」(SIJ)を設立されました。大変共鳴した私も、さっそく参加させていただきました。(なお、SIJは、その後経済産業省の後押しを受けて、2011年、(一般社団法人)「ソーシャルビジネス・ネットワーク」に衣替えしました。)

SIJ「ファンド委員会」での検討

まもなく、SIJでは、常務理事の町野弘明さんの発案により、「ファンド委員会」が組成され、私や唐木さんもその委員会の一員として、社会起業家やソーシャルビジネス事業者が資金を集めていく方法をあれこれ議論してきました。

介護や子育てなど、ソーシャルビジネス事業者が頑張っている社会生活に関わる事業分野は、概して地味であり、ちょっとやそっとでは儲かる話にはなりませんし、急成長して「大儲け」するなど滅多なことではありえません。いいことをやろうとしているのですが、これでは、金融機関もなかなか融資してくれませんし、ましてや証券会社は見向きもしないのは当然です。

そこで、「ソーシャルベンチャーファンド」を作らなければという話になっていきました。これは、CSR(企業の社会的責任)を自覚した金融機関など大口の出資者の資金を元手にして、ソーシャルベンチャー事業者に出資し、事業の立ち上がり段階からハンズオン支援を続け、大きく成長した暁には公募増資の段階で資金を回収するというものでした。しかし、残念ながら、2008年夏の「リーマンショック」の襲来により、スポンサーとして期待していた金融機関の業績が急激に悪化し、あっけなく雲散霧消してしまいました。

「市民出資支援ファンド」づくりへ

そこで、次に考え始めたのが、ソーシャルビジネスを応援していくために、市民自らが自分たちで「志金」を集め出資していく「市民出資ファンド」の仕組みづくりを手伝えないかということでした。

「市民出資ファンド」は、すでに「市民風車」への取組みで始められていました。「北海道グリーンファンド」の鈴木亨さんたちが、2001年に立ち上げた市民風車「はまかぜちゃん」がその第1号です。鈴木さんたちは、匿名組合をつくって一挙に1億6,600万円もの「志金」を集め、見事に発電事業を成功させたのです。

この頃は、「匿名組合」を組成すること自体は比較的簡単で、誰でも自由に市民からの資金集めができました。しかし、2000年代の半ばから、「村上ファンド事件」や「ホリエモン事件」などで匿名組合が不正な資金操作に悪用されたり、様々な詐欺的な資金集めでの利用が目立ってきたため、しっかりとした規制を設けようということになりました。

2007年には、それまでの「証券取引法」が全面改正され、新たに「金融商品取引法」に集約され、匿名組合出資等も、「集団投資スキーム」として厳しい規制が課せられるようになったのです。具体的に言うと、そうした資金集めは、「第二種金融商品取引業登録業者」しかできなくなりました。この登録には、1000万円以上の資本金が必要ですし、金融業務経験者が常勤していることなどが求められます。これでは、一般の地域市民の皆さんが登録業者になって市民出資ファンドを運用するにはハードルが高すぎます。

「適格機関投資家等特例業務」への注目

そこで私たちが着目したのが、この適用が除外される「適格機関投資家等特例業務」の活用でした。詳しくは、「地域エネルギー支援ファンド」をご参照いただきたいと思いますが、適格機関投資家である西武信用金庫(東京都中野区)さんにご出資いただくことを「事前届出」することにより、2013年7月、「地域エネルギー支援ファンド第一号投資事業有限責任組合」を組成することができました。このファンドは、再生可能エネルギー発電事業に関わる固定価格買取制度を活用して、太陽光発電事業などを始めようとしている各地の市民の皆さんが、自ら手作りで、顔の見える関係の中で「志金」集めをしていくことを、適法にお手伝いできるものです。

私たちは、このファンドの設立により、ようやく念願であった「市民出資ファンド」作りのお手伝いができることになりました。まずは、喫緊の課題となってきた再生可能エネルギーの普及拡大に向けた「地域エネルギー支援ファンド」の実績づくりから始めますが、このファンドスキーム自体は、ソーシャルビジネスのあらゆる領域における資金集めに利用可能です。

重要なポイントは、市民だけで資金集めをしようとすると厳しい制約がある中、地域金融機関が適格機関投資家としてしっかり監視するという条件をクリアすれば、適法に市民出資ファンドを自己募集・運用していけるということです。

私たちは、このスキームが再生可能エネルギー事業に向けた資金集めに役立ち、きちんとした決算書に基づき収益を出資者の皆さんに還元していくことを立証していきます。そして、全国各地で、同様のスキームによる市民出資ファンドが、地域金融機関のご協力の下で組成されていくようご支援していくことを、当面最大のミッションと考えています。

ご関心をもたれたソーシャルビジネス事業者、応援したいと考えている市民の皆さん、そして地域金融機関の皆さんが、私たちにコンタクトいただけるように願う次第です。

代表理事 澤山 弘

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